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書評 『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』 ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド

『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』 ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド


『FACTFULNESS』は、おそらく歴史に残るベストセラーではないでしょうか。 世界では、200万部超えの大ベストセラーですので。

オリエンタルラジオの中田さんも「これは読んでおかなきゃいけない」と言っている通り、私も「読んでおかなければ」と思って、即買って読んでみました。


ビル・ゲイツ氏も、オバマ氏も大絶賛とのことですが、私の率直な感想としては「そんなに世界は悪くない」ということがわかりましたが、とくに本棚においておくべき本では無いなという印象です。


ファクトフルネスとは、「思い込みで世界を見ずに、正しいデータを元に世界を見ましょう」ということです。



ハンス・ロスリング氏

  • ウプサラ大学で統計学と医学を学ぶ
  • 聖ヨハネ医科大学で公衆衛生を学ぶ
  • 医師、グローバルヘルスの教授
  • 神経が麻痺する病気を発見(コンゾ)
  • 経済発展と農業と貧困と健康のつながりについての研究
  • 世界保健機構やユニセフのアドバイザー
  • スウェーデンで国境なき医師団を立ち上げ
  • ギャップマインダー財団を設立
  • フォーリン・ポリシー誌からグローバル思想家100人のひとりに選ばれた
  • ファスト・カンパニー誌から世界で最もクリエイティブな100人のひとりに選ばれた
  • タイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人に選ばれた


オーラ・ロスリング氏、アンナ・ロスリング・ロンランド氏

  • オーラはハンスの息子
  • アンナはその妻
  • ギャップマインダー財団の共同創設者
  • アンナとオーラが開発した「トレンダライザー」というバブルチャートのツールをグーグルが買収
  • グーグルでオーラはパブリックデータチームのリーダー、アンナはシニア・ユーザビリティデザイナー
  • 無料教育ツールを開発



つかみ

  • 小さい頃の夢はサーカスの団員になること
  • 剣飲み芸人をめざしていた


という話から始まり、つかみは抜群です。いくつかの問題を提示し、その回答の統計がランダムで選んだ回答よりも低い、つまりチンパンジー以下であると主張します。



アップデートが必要

  • これは、アップデートの問題
  • 持っている知識は、数十年前からアップデートされていない
  • 彼らや彼女らの先生が、学校に通っていた時代の知識が、そっくりそのまま受け継がれている
  • あなたは世界について何も知らない、裸の王様
  • 人々は、悲観的な先入観を持っている
  • 世界のことについて考えるとき、無意識に自分の世界の見方を反映させてしまう
  • だから、世界の見方が間違っていたら、正しい推測もできない



ファクトフルネスを読めば

  • この本は、心を穏やかにしてくれる
  • 世界はあなたが思うほどドラマチックではない
  • 間違った思い込みをやめ、事実に基づく世界の見方ができるようになる
  • 世界が想像とはまったく違っていること、解決不可能に見えた世界の課題がすでに解決していることを伝える
  • この本を読み終えたら、心が軽くなり、前向きになり、世界に希望が持てるようになるはず



恐怖と危険は違う

  • めったに起きないことのほうが、頻繁に起きることよりもニュースになりやすい
  • 頭の中は、めったに起きないことの情報で埋めつくされていく
  • メディアや自身の関心フィルターのせいで、恐ろしい情報ばかりが届いている
  • 世界は、実際より恐ろしく見える
  • 恐怖本能を抑えるには、リスクを正しく計算する
  • リスク = 危険度 × 頻度(言い換えると「質」と「量」の掛け算)
  • つまり「恐ろしさ」はリスクとは関係ない
  • 「恐怖」と「危険」はまったく違う
  • 恐ろしいと思うことは、リスクがあるように「見える」だけ
  • 危険なことには確実にリスクがある



割り算

  • 割合を見ると、量を見た場合とはまったく違う結論にたどり着く
  • たいていの場合、割合のほうが役に立つ
  • 特に、違う大きさのグループを比べる場合
  • 国や地域を比較するときは「ひとりあたり」 に注目する



ひとつの視点だけでは世界を理解できない

  • 数字がなくては世界はわからないし、数字だけでも世界は理解できない
  • 政府がなければ国は運営できないけれど、政府がすべての問題を解決できるわけではない
  • どちらか一方が正しくて、もう一方がかならず間違っているわけではない
  • どちらもいいし、ケースバイケース



犯人ではなく、原因を探す

  • 物事がうまく行かないときに、責めるべき人やグループを捜してはいけない
  • 誰かがわざと仕掛けなくても、悪いことは起きる
  • その状況を生み出した、絡み合った複数の原因やシステムを理解することに力を注ぐべき



最後に、著者が述べている10の本能をあげておきます。


10の本能

  1. 分断本能 → 大半の人がどこにいるか探そう
  2. ネガティブ本能 → 悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう
  3. 直線本能 → 直線もいつかは山があることを知ろう
  4. 恐怖本能 → リスクを計算しよう
  5. 過大視本能 → 数字を比較しよう
  6. パターン化本能 → 分類を疑おう
  7. 宿命本能 → ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留めよう
  8. 単純化本能 → ひとつの知識が全てに応用できないことを覚えておこう
  9. 犯人捜し本能 → 誰かを攻めても問題は解決しないと肝に銘じよう
  10. 焦り本能 → 小さな一歩を重ねよう


『FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

人それぞれ興味共感するものが異なるということを理解する

自己啓発本をよく読む方は、相手の気持ちを考えたり相手の気持ちを変えることが難しいということを知っています。だからこそ自分が変わろうと努力もします

しかし、変わってほしいと思っている人に限って自己啓発本は読んでくれません。 だからこそ人を変えることは難しいとも言えます。



だれでも一度は「相手の気持ちを考えて行動しましょう」と先生に言われてきましたよね。

「相手は今どうゆう気持ちなんだろうと」と思うことができる人は、普段から相手の気持ちを考えている人です。 この記事を読まれている方もそうですね。

相手の気持ちに鈍感の方は、興味もなければ、なぜそんなことを考えなければならないのかすらわからないので、いつまでたっても空気の読めない人のままなのです。


自分のことは興味がなくても、子どもに対しては興味をもつ場合があります。 以前書いた記事があるので参考にしてください。

自己啓発本を読まない人には、子育て本を読んでもらう


自分が興味がなければ、受け入れるのがとても難しいのです。 自己啓発だけでなく、世の中あらゆるものに対して、そう言えます。

「マスクを付けましょう」と言われても、「別にいいじゃない」と思う人にとっては愚問なんです。 逆に普段からマスクを付けている人にとっては、マスクを付けることが当たり前なのです。

「ゆとりを持ちましょう」と言われても、過労死してしまうほど働いている人はゆとりというものを知りません。


自己啓発本を読んでいるから偉いというわけではなく、人それぞれ興味共感するものが異なるということが大事なのです。

そのことを理解していれば、「あ、もうちょっと興味をもってみようかな」「この人はこの件については興味がないようなので別の線で攻めてみよう」などと、変化球を使えるようになります。いつも正論という直球だけではうまくゆかないのです。



当たり前のことなのですが、人は自分と違います

人それぞれ興味共感するものが異なるということをわかっていれば、いろいろなコミュニケーションの場で、ヤキモキすることはなくなるでしょう。

小さな子どものほめ方「できたやるこ」

ほめかたにも良い悪いがあります。

本人は、ほめたつもりなのに、受け取った人には皮肉にしか取られなかったり、まったく伝わらなかったりします。

とくに小さな子どもに対しては結構難しいです。「すごいね」「えらいね」ではいけないんです。



ほめるときのコツ

  • 「何がいいのか」をわかりやすく伝える
  • 「できていること」「ほめたいこと」を具体的に伝える
  • できたところを触ったり指差したりして具体的に示す



で・き・た・やる・こ

  • 」:できたことを具体的に伝える
  • 」:きもちそのものをほめる
  • 」:タイミングを逃さず伝える
  • やる」:やる気や意欲に共感して声かける
  • 」:こうどうさせる



「すごいね」「えらいね」などの抽象的な言葉は、小さな子どもにはよく理解できません。大人はわかりますが、やはり大人でも具体的に伝えたほうが説得力や今後のやる気につながります。

本人だけでなく、人前でもほめるとより効果的です。 少し大きくなってきたら、間接褒めが効果絶大です。間接褒めについては以前記事を書きましたので参考にしてみてください。


参考

あいづちの「あいうえお」「さしすせそ」

以前ご紹介した記事はこれです。

うまい「あいづち」の技術


齊藤勇さんの本にも、あいづちの「あいうえお」「さしすせそ」がありましたので合わせてご紹介します。 ちなみに、齋藤孝さんではありません。齊藤勇さんは、心理関係の本を専門に書かれています。

最初の本は古いので、中古でしか買えないのですが、なんと100円ちょっとです。



あいづちの「さしすせそ」

  • さ:「さすが!」
  • し:「実力ですね!」「知らなかったです!」
  • す:「すごい!」
  • せ:「絶対いい!」
  • そ:「そうですね!」「それで?」


あいづちの「あいうえお」

  • あ:「ありがたい!」
  • い:「いえ、いえ」
  • う:「運が悪かったですね」
  • え:「縁がありますね」
  • お:「恩を感じます」


番外編「あいうえお」

  • あ:「あっちょんぶりけ!」
  • い:「いかすー!」
  • う:「うそー!」
  • え:「え~!」
  • お:「お~!」


基本的には、「へーそうなんですね」っと肯定し自分の喜びや感謝を言葉に出すということですね。

書評 『看る力 アガワ流介護入門』 阿川佐和子 大塚宣夫 高齢者編

『看る力 アガワ流介護入門』阿川佐和子 大塚宣夫


もし、自分が高齢者になったらという発想が大事です。 「親にして欲しいこと」と「自分にして欲しいこと」は違ってないでしょうか? 親に対して、理想を無理強いしてないでしょうか?



高齢者の最終目標は「一人暮らし」

  • 年を取ってからの一人暮らしは、その人のもてる全能力を駆使しないとできない
  • 家事全般はもちろん、お金の管理や健康管理、周囲とのコミュニケーションなど、日々の暮らしに関わるすべてを、一人でやることになる
  • 周りの人から必要とされるような環境をつくり続けられるかどうか
  • 少なくとも他人に迷惑をかけないように生きるためにはどうしたらいいかを考えておく


美人看護師長のおかげで十年長生き(エピソード)

  • 美人看護師を慕っていた患者さんが数人いた
  • 看護師が転勤したら、患者さんの1人がついていった
  • 残った患者さんはみな亡くなってしまった
  • 美人看護師さんについていった方は長生きした
  • 会いたい人がいるということが、長生きの原動力となったことは間違いない


男性は役割、女性はオシャレ

  • 自分が必要とされ、この役割は自分が果たさねばならないとなったときの人間の力は本当にすごい
  • 本人の力を引き出すきっかけづくりが重要
  • 男性は世間話が苦手だしコミュニケーションを取るのも下手なので「役割」や「大義名分」が必要
  • 年を取っても、男の関心は、たえず「上か、下か」
  • 特に女性は自分をきれいに見せる、オシャレする仕掛けをつくることが大事


老人に過労死なし

  • 75歳は後期高齢者というか、本格的老人になる節目
  • 一瞬は頑張れるけれど、その後がもたない
  • 年を取るに従って回復は遅くなる
  • 疲れが出るのが、二日ぐらい遅れてやってくる
  • 若い人は体力もあるし精神的にも頑張れから無理をして頑張り過ぎちゃう
  • お年寄りは、頑張り過ぎることはない


体を動かす

  • 体が何と言おうと、気力に体力を引っ張らせることこそが大切
  • 75歳を過ぎて使わなかったら、体はたちまち衰える
  • 元気いっぱいだった人が急速に衰えるときは、だいたい怪我や病気をして、動けない時期を経てダメになっていく
  • 体を動かさなくなったら、それが自分の意志であっても、そこから立ち直るのは難しい
  • 三日以上じっとしてたら転落の道を一直線


年を取るということ

  • 年を取るということは、昨日できたことが今日できなくなること
  • 今日できたことが明日にはできなくなるということ
  • これをどう前向きに受け止められるか
  • まだこれだけ残ってるとポジティブに思えるかどうか


高齢者向け施設の選び方

  • 立ち振る舞いなども含め、そこで働いている人の表情を見る
  • 自分のやっていることへの誇りや自信、心の状態の集大成だから
  • 仕事をするうえで、後ろめたさがあったり、疲れきっていたりしたら必ず、態度に表われる


人生の不安を全部解消はNG

  • 「ある程度自分のことはできるけれど、三食つくったり掃除や洗濯が大変」という時期
  • 「寝たきりになって、いろんな病気が出てくるようになった」時期
  • 「人生の最期」の時期
  • それぞれ、必要とされる機能がまったく違う
  • ひとつの施設でそのすべてを揃えるのは経営的視点からみて無理


ギリギリまで一人暮らし

  • 不治の病気や寝たきりなどで動けなくなったときに転がり込む先を、元気なうちに見定めておく
  • ただし、そこに入る時期は、できるだけ先延ばしする
  • 自分で、もてるものをすべて駆使して、そこに入らないように頑張る
  • 死ぬ場所はここと決めておけば、人間は不安から解放される
  • そうすると、ポジティブに生きられる
  • どんどん見学すべき
  • 家を買うときは、何軒もまわって検討するでしょう?
  • 死ぬ場所を探すことも同じ


自身が基準

  • 自分の親にして欲しいこと」「自分の親ならどう思うか」を判断基準としない
  • 自分ならどうしてもらいたいか」「自分が入りたい施設とは?」という視点も大事


お風呂

  • 高齢になったら、風呂に入れるほうも大変だけど、入れられるほうだって大変
  • 本当に汚れたとき、あるいは汚したときに、手をかけてくれればいい
  • 洗い過ぎると、人間は脆弱になる
  • 今の世の中、清潔信仰が強すぎ
  • 日本人の皮膚の病気のかなりの部分は、洗いすぎからきてる
  • ほどほどのレベルが大切
  • 若い頃ほど脂は出てこなくなる



親にして欲しいこと」と「自分にして欲しいこと」は、ほんとに違ってしまいますね。



『看る力 アガワ流介護入門』阿川佐和子 大塚宣夫

書評 『看る力 アガワ流介護入門』 阿川佐和子 大塚宣夫 認知症編

『看る力 アガワ流介護入門』阿川佐和子 大塚宣夫


ボケに対して、間違ったコミュニケーションをしていないでしょうか? 『看る力 アガワ流介護入門』から学ぶべきことがたくさんありました。



介護で避けて通れないのが認知症

  • 認知症は、ひと言でいえば記憶の障害
  • 自分の中に入ってきた新しい情報をうまく処理できなくなっている状態
  • 人間は過去の経験を記憶という形で残している
  • それと照合しながら、今起きていることに対してどう行動すべきか判断をする


  • 認知症は、その過去の記憶にうまくアクセスできない、あるいは即座につながらない
  • 記憶は全部なくなるわけではなく一部は残っているので、そこがややこしいところ
  • 少ない記憶をかき集めて情報を処理するので、普通の人とは違った行動になる


  • 目の前のことは見事に処理する
  • 囲碁や将棋が強かった人と対局すると、かなりの認知症であっても強い
  • 昔学習したことは、意外といつまでも頭に残る
  • 一方で、比較的新しいこと、ついさっきのことは忘れてしまう



認知症の対処法の基本

  • 赤ちゃん言葉は使わない
  • 最後の最後まで、きちんとした一人の大人として扱う
  • バカにしない、怒らない、とがめない
  • 本人がうまく処理できなくても非難しない
  • バカにされない、とがめられないという安心感を与えることが大事


  • まわりから見たら理屈に合わない発言や行動でも、本人にとっては、残った記憶と情報をもとに自分なりにベストの判断をくだし行動しているので整合性はある
  • 本人としては、怒られる意味がわからない
  • そこが私たちが最も理解しなければならないポイント



教育的な効果は、絶対期待してはいけない

  • 「いい加減に覚えてよ!」と怒っても、それは教育的指導なので、まったく効果はない
  • 何を言われても決して否定しないこと
  • 繰り返すだけでいい、同意しちゃえばいい



認知症の人は、体からにじみ出るような気持ちには極めて敏感

  • 前向きな気持ちは、相手が認知症でもしっかり伝わっている
  • どれくらい前向きな気持ちで接していたか、これによって患者さんの行動も決まる
  • 不穏な気持ちで接すれば、患者さんは落ち着かない
  • 認知症の人は、相手の感情がわかる



感情の記憶は、最後まで残る

  • 認知症の方は、言われたことは記憶できないけれど、相手が自分に対してどんな感情を持っていたか、怒りなのかイライラなのか愛なのか、そういうことだけは、きちんと記憶に残る
  • キツく接すると「この人は私に対して、いい感情をもってない」ということだけが残る
  • それを繰り返すと、その人に対する恐れや不信感だけがつのる
  • 介護する側の気持ちをフラットにしておかないと伝わってしまう
  • フラットが大事



状況判断力はある

  • ふだん一緒にいない人が来たらいいところを見せようとする
  • ちゃんと、つじつまが合うような話をする
  • その場を取り繕う能力もある
  • それが最大の誤解を生む原因



一人暮らしは老化防止の特効薬

  • 一人、あるいは高齢者同士の暮らしは、少々体調が悪くても自分で動かなければいけなくて、緊張感がある
  • 一見苛酷に思えるが、老化防止や認知症の進行を防ぐ特効薬でもある
  • 周囲の人間が、すべて手をさしのべたり、施設に入ると、そこまでの緊張感はなくなる
  • 結果として気力が落ちるし、体を動かさないから体力も低下する
  • 周りがよけいな世話をやくことで、結局何もできない存在にしてしまう
  • 周りの人が何かやってくれるとわかると、自分ではもう何もやらなくなる



本人が別に困ってなければそれでいい

  • かなり認知症が進んでも、ある程度のレベルを保つ生活は十分可能
  • 一人暮らしだと、お風呂はめったに入らない、部屋は汚いまま
  • きちんと生活できてないと心配
  • それは、周りが思う普通の生活、型にはまった暮らし
  • 本人が別に困ってなければそれでいい
  • ゼロとは言わないが、周りの人が思うほど危険なことは、まず起きない



ワンクッション入れる

  • 他人を絡ませたほうが、お互いにいい
  • 身内の世話こそ、他人に頼むほうが双方にとって幸せ
  • プロのスキルは違う、知識、経験、技術
  • 片手間では介護はできない
  • プロの立場からすると、体を起こす、位置を変える、食事の介助、排泄の世話、簡単そうに見えてすべてにコツがある
  • 素人が見よう見まねで「気持ちさえあればできる」みたいな感覚はもたない



介護後のことも考える

  • 独身の娘さんが会社をやめてまで面倒を見ても、何年か後に親が亡くなったら、そのあとどうやって過ごすのか?
  • 経済的な問題もあるけれど、社会との関わりが切れてしまうことの方が大きい
  • 自分の親はプロに預けて、自分はその支払い分を稼ぐぐらいのつもりで、仕事をやめずに、社会的役割をはたせばいい



必要とされる状況をつくる

  • 認知症は、完全に元に戻るということはない
  • 認知症が一直線にどんどん進行するのをある程度抑えることはできる


  • 「なんで起きなきゃいけないの?」「目が覚めたら、また昨日と同じようなことをしなきゃいけないんだよ」と認知症の方は言う
  • やり甲斐のようなものがあるのとないのとでは、ずいぶん違う
  • 自分はなんの役にも立たないでみんなの世話になって、一日一日、また生きなきゃいけないのはけっこう辛いこと


  • 最も効果があるのは、自分が周りから注目されること、必要とされること
  • 「自分がやらなければこの場は回らない」という状況におかれると、その人のもっている最大限の能力、残されたものが活性化される
  • 役に立つこと、期待される役割があることが、人間の生きる意欲の源
  • 必然が必要
  • 手芸やお絵描きなど趣味は必然がない
  • 趣味の会ではダメ
  • 内職ならお金を稼ぐという意味ではなく、やりがいを感じる



90歳を過ぎると7割は認知症

  • 脳血管が詰まったり破れたりすることで起こる脳血管性認知症と、脳神経細胞が死滅し脱落して起こるアルツハイマー型認知症がある
  • 治療法は似たようなもので、後者は今もって原因も不明
  • 認知症の発生率は75歳を過ぎると急激に上がる
  • 90歳過ぎた方でも、30%は認知症にならない
  • 90歳を過ぎると7割は認知症になっているとも言える
  • 最近癌の患者がすごく増えたというが、昔は癌になる前にみんな死んでいた
  • 認知症も同様



認知症の問題は、生活能力

  • 認知症かそうでないかという境目は、生活に支障があるかどうか
  • 本当に生活に差し障りがあるような物忘れが出てきたときに、初めて認知症ではないかと疑えばいい
  • 認知症の問題は、生活能力ともいえる



認知症の早期診断

  • 認知症の早期診断は、患者さんのためというより、ご家族のためにある
  • 早期診断は、ご家族が対処の仕方を早く学べるという意味で、メリットがある
  • 認知症の方の言動は全部、その人なりの理由があり、本人にとっては正しいこと
  • 周囲はすべてを受け入れて対処するしかない
  • 早く知っておけば慌てずに対処できる
  • ちゃんと受け入れるために腹をくくる時間もできる
  • 認知症のいちばん辛いところは、本人はともかく周囲が、それをなかなか受け入れられないという点



認知症として認識するのは難しい

  • 自分自身を認知症として認識することは、いつまで経っても難しい
  • 認識する頃には、認識したこと自体を忘れちゃう
  • 本人がそうなんだから、家族だってなかなか受け入れ難い



『看る力 アガワ流介護入門』阿川佐和子 大塚宣夫

書評 『看る力 アガワ流介護入門』 阿川佐和子 大塚宣夫 介護編

『看る力 アガワ流介護入門』阿川佐和子 大塚宣夫


『看る力 アガワ流介護入門』は、身内に要介護者がいないとあまり読まない本だと思います。 私もそうでした。しかし突然やってくるのです。

母が脳梗塞で入院しました。脳梗塞は脳の血管が詰まって起こる病気です。 介護なんて他人事だと思っていたのですが、今や自分事です。しかも私の人生のかなりの部分を占めるようになりました。

『看る力 アガワ流介護入門』は、要介護者にどのように接するのか、どのように対処するのかを、経験者の阿川佐和子さんと医師の大塚宣夫さんの対談形式で書かれた本です。


私は『看る力』を読んで、介護に対する認識が大きく変わりました。そして気持ちが楽になりました。良い本をありがとうございます。

親にして欲しいこと」と「自分にして欲しいこと」は違うんです。 自分が老後にして欲しいことを基準に考えてゆくとよさそうです。


介護のポイントは「後ろめたさをもつ」ことです。



阿川佐和子さん

  • 1953(昭和28)年東京都生まれ
  • 慶應義塾大学文学部西洋史学科卒
  • 『筑紫哲也 NEWS23』のキャスター
  • 『ビートたけしのTVタックル』の進行役
  • エッセイスト、作家
  • 『聞く力』:年間ベストセラー第1位、14年菊池寛賞を受賞
  • 博物館明治村の4代目村長


大塚宣夫さん

  • 1942(昭和17)年岐阜県生まれ
  • 慶應義塾大学医学部卒
  • 井之頭病院 精神科医
  • 「親を安心して預けられる病院をつくりたい」との思いから青梅慶友病院を開設
  • よみうりランド慶友病院を開設
  • 慶成会会長



食べること

  • 食べることは、人間の最後まで残る楽しみ
  • それと同時に、生きる力を測る目安



医療が寝たきりをつくる

  • 医療の世界では、まず点滴で水分や栄養を補給
  • 点滴するとなると、できるだけ動かさないように寝かせておかなければいけない
  • 一週間もすると、皆ほんとうに寝たきりになってしまう
  • 医療をやればやるほど元気がなくなっていく



医療より介護、介護より生活

  • 一年ぐらい試行錯誤してたどり着いた結論は、お年寄りに必要なものは医療よりまず介護
  • 一人で生活ができなくなった人を、周りがサポートするということ
  • どんな状態になっても、豊かに過ごせるような生活環境を整えることが大事
  • 医療より介護、介護より生活、という方向に優先順位をひっくり返した


  • とにかく、朝になったら起こして着替えをして、日中は少しでもベッドから離す
  • そうするとだんだん、表情が変わってくる
  • とにかくお洒落をしてもらう
  • 身づくろいをする習慣を身につけることは「何かしよう」という前向きな意欲をもつことにつながる



介護は長期戦

  • この一年、仕事を減らして両親の介護に専念しようは間違い
  • ここを頑張ればなんとか乗り越えられるかもしれないは間違い
  • 十年かもしれない、いつ終わるかわからないのに全力で頑張ったら、自分がひっくり返るだけ
  • 自分の生活をちゃんと保ちながら、介護も長く続けないといけない
  • 介護は長距離走、マラソンのようなもの
  • 最初から全力疾走したらゴールできない



介護する側が極力いい精神状態を保つ

  • 手を抜くこと、全力でやらない
  • 一人で一生懸命、何もかも抱え込まない
  • たくさんの人を巻き込み、関わるみんながときどき休める仕組みをつくること
  • 介護する側が極力いい精神状態を保てるようにすることが、長く続けるための基本中の基本



後ろめたさをもつ

  • 「ちょっと仕事が忙しくて」と言いながら、本当はゴルフに行っているなど
  • その後ろめたさのせいで、優しくなれる
  • 私はこんなに頑張ってるのにと不満だけがつのると介護の疲れも倍増する
  • 介護に限らず「後ろめたさ」こそが、対人関係を良くする妙薬
  • 浮気をしてる亭主が奥さんに優しいのと同じ原理



息抜き上手は介護上手

  • 常に張りつめていると消耗が激しいし、逃げ場もない
  • 60点主義でいい、100点めざしちゃうと、間違いなく息切れする
  • 「本当は私、ちょっとズルしてるんだよね」という心を持っていると余裕ができる
  • 気分転換できる引き出しをいろいろもっておくといい
  • とにかく完璧をめざさないこと



『看る力 アガワ流介護入門』阿川佐和子 大塚宣夫