『運命を拓く 天風瞑想録』は「うんめいをひらく てんぷうめいそうろく」と読みます。拓くという漢字が難しいですね。 また、「中村天風」と名前もすごいですね。
人一倍元気な松岡修造さんが「僕の元気の素」といっているので、相当元気をもらえそうです。 当時不治の病であった肺結核を克服し、人間の命の本来の在り方を研究した方です。
中村天風さん
- 「天風会」を創始し心身統一法を広めた思想家、教育者、著述家
- 本名は「中村三郎」
- インドのヨーガの聖人「カリアッパ師」と出会い、そのまま弟子入り
- 東京実業貯蔵銀行頭取
- 統一哲医学会を創設、のちの「天風会」
- 政財界の実力者や多くの著名人が師事
- 東郷平八郎、原敬、北村西望、松下幸之助、宇野千代、双葉山、稲盛和夫、広岡達朗などが影響を受けた
内容的には、宇宙真理、霊魂などが、あたかも当たり前であるという考えが随所に出てきますが、フィルターを通してみても得るものはあるかなと思います。
古い書籍なのでとても読みにくいですが、じっくり読む価値はあります。
「治らない病は、一生に一遍しかない」というフレーズが印象的でした。
天風の目覚め
- 「カントの自叙伝」を読む
- カントは一生治らない病気持ちだった
- カントは「辛い、苦しいといわずに、自分のやりたいことをやりなさい」と言われた
- それからカントは哲学を志し、大カントといわれる程の哲学者になった
- 自分の生き方の誤りを天風は痛烈に感じた
- その後「たとえ身に病いがあっても心まで病ますまい」という鮮烈な叫びとなって表現される
悟り
- 悟りとは、自分の心が真理を感じたときの心の状態
- 自分の努力で自分の心で感じるのも、人の悟りを1から聞いて自分の心に受け入れるのも、受け入れ方に相違があるだけ
- 受け取ってしまえば結果は同じ
- 真理を受け入れるときの心の態度が、悟りを開く上に密接な関係がある
- 本来人間は、改めて真理をいろいろ説き聞かされるまでもなく、この世に生まれ出た時から絶えず真理に接し真理の中で生きている
- 魚が水の中で生きていながらそれを知らないのと同様に、真理の中にいながら、自覚することができない
- 心の中に雑念妄念があるためであり、本当に心が清い状態であれば、真理はすぐに発見できる
- 「安定打坐法」という特殊な坐禅法を行なうと、雑念妄念がたちどころに消え去っていく
- 我々の生命の中にある肉体はもちろん精神生命も、心の運用いかんによって決定することが出来る
- 「人間の心で行なう思考は、人生の一切を創る」これが数十年来かかって考えて、ようやく悟り出した人間の生命に絡まる宇宙真理
霊魂
- 現代の人間は、肉体が自分であると思っている人が多い
- 人間というものは、その正体をつきつめていくと、何も見えない、また感じない、霊魂という気である
- 霊魂が、現象界に命を活動させるために、その活動を表現する道具として肉体と心が与えられている
- これを正しく理解し正しく応用した人にのみ、その命に限りない強さと喜びと安心と平和とが与えられる
- 肉体が生きているのは、霊魂という気の力が肉体を活かしている
- 人間の生命に与えられた活きる力というものは、肉体に在るのではなく、霊魂という気の中にある
- 心というものは、人間の生命の本質であり、絶対に眼に見えない霊魂という気の働きに対する名称
- 心の行なう思考は、すべて個人の命の原動力となっている霊魂を通じてその霊の本源たる宇宙霊に通じている
- この絶対関係を真剣に考えると「思考は人生を創る」ということに断然結論される
積極的
- 命の力を豊富に受け入れられる活き方とは、いかなる場合にも心の態度を積極的に保つこと
- 要するに消極的にものごとを考えなければそれでよい
- 積極か消極かというだけで、人生の幸福の宝庫が開かれるかどうかが決まってしまう
- 「言葉のすべてが、人生に直接的に影響する暗示となる」という大事な宇宙真理を絶対に忘れないこと
- 同じことをいうのに積極的にいい現わせるはず
- 「おお暑い、ますます元気が出るねえ」
- もし言ってしまったら「ああ暑い、どうにもやりきれない」「と昔はいったけれど」とすぐそこで打ち消せばよい
- 心の持ち方を積極的にしたということが、引っぱる力に押す力が加わるのと同じ結果になる
- 反対に心を消極的にすればするほど、健康も悪くなり、運命も悪くなる
かわす
- 腹の立つことがあろうと、悲しいことがあろうと、瞬間に心から外してしまえばいい
- 走る車の中で、外の景色がスーッと行き過ぎてしまうのと同じ
- 新幹線の列車にまともにぶつかれば粉々になるが、 ヒョイと身をかわせば列車はすうっと通り過ぎてしまう
- 相手にしなければいい
信念
- 人生にとって一番大事なことは信念である
- 最初に、信念強くその希望が「実現する」と断定したときには、その事柄は霊の世界においてはもはや実在となっている
- 花や実をもたせる種子と同様に、成育の法則に従って、やがて花や実が実現する
- ヘブライのソロモン「人の本当の値打ちというものは、ただ、信念の二文字である」
- 釈迦「信ぜざれば救う能わず、縁なき衆生は度し難し」
- キリスト「まず、信ぜよ」
感情
- 感情というものはその種類がいかなるものであろうと我々の肉体や人格に影響せずにはいられないように出来ている
- 常に感謝と歓喜という積極的な感情を持っていれば、肉体や人格に積極的な非常に大きな良い影響を与える
- 反対に、怒ったり、怖れたり、悲しんだりする消極的な感情や情念は、実に悪い影響を持ってくる
- 中でも、恐怖というものは一番恐ろしいほどの印象力をもっている
- 心配や悲観をする癖がつくと、何を考えるときでもやたらと取越苦労をする
- 取越苦労をすると、物事をやたらと消極的におおぎょうに考える
自己啓発的には「プラスイメージ」「思考は現実化する」ということだと思いますが、『運命を拓く 天風瞑想録』では深く心に、霊魂にしみるように教えてくれている本だと思います。
2020/06/17