RSS

書評 『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』 佐藤雅彦 菅俊一 高橋秀明

『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』
佐藤雅彦 菅俊一 高橋秀明


うなぎやさんやランチなどで、メニューに松竹梅とあると、たいていは竹を頼みませんか? 実は、これって行動経済学で説明できるんです。

『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』は、いろいろな面白いへんてこな行動のエピソードを、まんがで書いたものです。

どんなタッチの漫画なのかは、Amazonの説明のところに、4ページ分ですが見ることができます。 あとがきを読むと、はじめは、どこかのまんがとコラボしようとしていたみたいですが、結局は、自分たちで書いちゃえっとなったようです。


私の感想としては、「まー面白い」といった感じでしょうか。「行動経済学には、こうゆうことなんだよ」とやさしくまんがでわかりやすく説明してくれています。

ただ、「だからどうなの?」「それで、どう利用したらいいの?」というところまでは突っ込まれていません。

人間は、自分の意志で、決めて行動しているが、実はいろいろな環境に左右されているんです。ということを教えてくれます。小中学生向けですかね。



著者は3人です。簡単に紹介しておきます。

佐藤雅彦さん

  • 東京大学教育学部卒
  • 慶応義塾大学教授を務めたことがある
  • 「だんご3兄弟」作詞&プロデュース
  • ピタゴラスイッチ」監修


菅俊一さん

  • 多摩美術大学美術学部統合デザイン学科専任講師
  • 人間の知覚能力に基づく新しい表現を研究・開発


高橋秀明さん

  • 電通に入社
  • 「明治ミルクチョコレート」「キシリッシュ」等の広告キャンペーン担当



さて、『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』の内容ですが、私が面白いと思ったものをいくつかご紹介します。


「アンダーマイニング効果」:報酬が動機を阻害する

落書きをやめさせたいおじいさんがいました。 悪ガキの子どもたちは、自分たちが楽しむために落書きをしていました。

おじいさんは、なんと!、落書きしたら、お小遣いをくれるようになりました。 子どもたちは、お小遣いをもらって落書きを続けた結果、いつの間にか、目的がお小遣いをもらうことにすり替わっていました。

その後、おじいさんは、子どもたちに、お小遣いをあげるのをやめました。 そのとたん、子どもたちは落書きをやめました。


アンダーマイニング効果は、自分が好きでしていた行動(内発的動機)に、報酬(外発的動機)を与えられることによって、やる気がなくなってしまう現象です。

よく「成績が上がったらお小遣いをあげよう」という親の作戦は、あまり良くないようですね。



「フレーミング効果」:枠組みを変えると価値が変わる

こんな広告は、どうでしょうか?

  • 従来の製品の90%の油分を使用
  • ビールも今はライトな時代へ なんと97%水分
  • 死亡率20%の手術

どれも、嫌な感じですよね。ちょっと見方を変えると、ネガティブな情報は、ポジティブに変える事ができます。

  • 従来の製品より油分を10%カット
  • アルコール分3% かなりライトな気分
  • 成功率80%の手術


同じ情報でも言い方を変えることで、異なる印象を与えられるのです。人は目の前にあるものだけで、直感的に判断してしまう傾向があるからです。



「参照点依存性」:基準に引っ張られて、価値が変わる

今、部屋の温度が24度だとします。

外が40度を超える猛暑日に、部屋に入ると寒く感じますが、外が氷点下になるほど寒い日に、部屋に入ると暖かく感じます。

その性質を利用して、梅干しとご飯だけの日の丸弁当を、とても美味しくする方法があるのです。

下記のような手紙を弁当につけて、食べる前に読んでもらうのです。

ニューヨークに1ヶ月滞在していることを想像してください。
毎日毎日、食事といえば、肉の塊、分厚いステーキ、大味のハンバーガー、油ギトギトのフライドチキン。最初はとてもうれしかったのですが、10日もすると苦痛になり、更に10日たつと苦行のようになってきました。もう脂っぽいのも肉も見たくありません。
さあ、そんなとき、目の前に、日の丸弁当が現れました。

単なるイメージですが、日の丸弁当が、悔しいほど美味しいはずです。空想上の食べ物と比較することで、お弁当の評価がかわったのです。


何か物事を評価する際、その物事の絶対的な価値ではなく、ある基準との相対的な比較によって、価値を決めてしまうことがあるのです。



「新近効果」:終わり良ければすべて良し

人は、複数の情報を順番に提示されたとき、後の提示に対して、強く印象を残します。そのため、同じ情報でも順番によって受ける印象が変わり、意思決定や価値判断に影響するのです。

  • 美味しかったけど、高かったね
  • 高かったけど、美味しかったね

  • 可愛いけど、派手だね
  • 派手だけど、かわいいよ

  • 僕は、あなたと結婚したいけど、給料は安いし、口うるさい母親がいる
  • 給料は安いし、口うるさい母親がいるけど、僕は、あなたと結婚したい

それぞれ同じことを言っていますが、全く受ける印象が異なりますね。



『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』を入門のきっかけとして、行動経済学を学んでみるのもいいですね。結構人生に役立つ情報が満載です。まんがなので、子どもの興味関心を誘い「面白い!」と思ってくれたら思う壺です。

行動経済学にでてくる「ナッジ」も、とても興味深いテーマだと思います。


『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』
佐藤雅彦 菅俊一 高橋秀明