『他者と働く』の著者の宇田川元一さんの講演を聞く機会に恵まれました。
ごく普通の人でしたが、質問に対する回答が、的確で迷いがなかったのが印象に残ってます。
宇田川元一さん
- 埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授
- 組織における対話やナラティヴとイントラプレナー(社内起業家)、戦略開発との関係の研究を行っている
- 大手企業やスタートアップ企業で、イノベーション推進、組織変革のためのアドバイザーや顧問実施
- 2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞
すべての厄介な問題は、関係性のなかで起きています。 よい関係性をいかにうまくスムーズに築いていくかということを「ナラティヴ」という言葉で語っています。
ナラティヴとは
- 立場・役割・専門性などによって生まれる「解釈の枠組み」
- 自分の専門性、正論
- 自分がこれまで「正しい」と信じ、必死で守ってきたもの
- その人に固有の解釈の枠組み
- 本人にとっての「常識」
- ナラティヴとは、平たく言えば「思い込み」
やり方
- 思い込みなので、自分の常識は通用しない
- 当人同士は、ナラティヴの溝があることに気づいていない
- だからこそ、相手の立場に立ってみる
- (1)自分のナラティヴをいったん脇に置く
- (2)相手のナラティヴを観察する
- (3)相手のナラティヴのなかに飛び移って、こちら側を見てみる
よく、親や上司が、子供や部下に対して「なんでやらないの?」と「Why」の意味で言うことがあります。 でも、子供や部下は、権力格差があるので「怒っている」もしくは「反対されている」ようにしか聞こえないのです。
「Why」ではなく「Reason」を知りたいんですよね。 相手の受け取り方を考慮して、理由を聞くような言い方にすることが必要なんです。
ナラティヴの話はちょっと難しい? → 巻き込まれる
- 「巻き込む」ではなく「巻き込まれる」という発想
- 向こう側に参入するということ
問題や課題を虫にしてしまう
- 人と問題を切り離す
- 問題や課題に名前をつけ、虫にしてしまう
- どんな餌をやると太るのか、どうすれば飼いならせるのかをみなで考える
課題のままだと、人を攻撃したり非難しがちですが、ムシに置き換えることで、人と課題を切り離すことができ、当事者も客観視できるので、とてもユニークで良いやり方ですね。
2020/11/27