『スタンフォード式 最高の睡眠』 西野精治
Amazonのスタンフォード式 最高の睡眠の内容紹介のなかで、取り上げられたTVの一覧が載っていましたが、ほとんどの局で放送されていたんですね。また、本書の主な内容も箇条書きでいくつか書かれてます。
「スタンフォード式」と書かれるとついつい買ってしまいますね。その中でもこの『最高の睡眠』と『疲れない体』は双璧をなすのではないでしょうか。
西野精治さん
- スタンフォード大学医学部精神科教授
- 同大学睡眠生体リズム研究所(SCN ラボ)所長
- 医学博士
- 精神保健指定医
- 日本睡眠学会認定医
- 米国睡眠学会学会誌「Sleep」編集委員
- 日本睡眠学会学会誌「Biological Rhythm and Sleep」 編集委員
- 突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ
- イヌの家族性ナルコレプシーにおける原因遺伝子を発見
- ヒトのナルコレプシーの主たる発生メカニズムを突き止めた
- 30年に渡り、睡眠・覚醒のメカニズムを、分子・遺伝子レベルから個体レベルまでの幅広い視野で研究
- 徳島大学医学部、愛知医科大学、昭和大学客員教授を併任
- 一般社団法人良質睡眠機構の代表理事
西野精治さんの肩書きがすごいですね。これだけ研究しているので本書に書いていることにも信憑性はありそうです。
それでは、『スタンフォード式 最高の睡眠』のエッセンスを。
最初の90分
- 睡眠は90分周期とは限らない
- レム・ノンレムの周期にかかわらず、睡眠の質は眠り始めの90分で決まる
- 最初の90分さえ質が良ければ、残りの睡眠も比例して良質になる
- 逆に最初の睡眠でつまずいてしまうと、どれだけ長く寝ても自律神経は乱れ、日中の活動を支えるホルモンの分泌にも狂いが生じる
- どんなに忙しくて時間がなくても、最初の90分をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠がとれる
- 入眠して眠りが深まってゆく時、交換神経の活動が弱まり、副交感神経優位になる
- 寝ているだけで、自律神経が整う
- 自律神経は呼吸、体温、心臓や胃腸の働きなど、生命を維持するために欠かせないもの
- 自律神経の不調は体ばかりか心の病気の原因にもなる
- 頭痛、ストレス、疲労感、イライラ、肩こり、冷え性など「何となく調子が悪い」という違和感の根っこには、自律神経の乱れがあることが多い
- 最初の90分を深く眠れば、グロースホルモンの80%近くは確保できることになる
睡眠に課せられた「5つのミッション」
- 脳と体に休息を与える
- 記憶を整理して定着させる
- ホルモンバランスを調整する
- 免疫力を上げて病気を遠ざける
- 脳の老廃物をとる
短眠はよくない
- ほとんどの人は短眠の遺伝子をもっていない
- 眠りの借金が寿命を縮める
- 睡眠負債は、脳にも体にもダメージを与える
- 短時間睡眠が肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病に直結する
- 死亡率が一番低かったのは、平均値に近い7時間眠っている人たち
- それより短時間睡眠の人も、逆に長時間睡眠の人も、6年後の死亡率が1.3倍高い
- 眠らなくても眠りすぎてもよくない
- 週末の寝だめごときで、睡眠負債は解決しない
- 睡眠の問題を時間でコントロールするのは難しい
- 睡眠(寝ている時間)と覚醒(起きている時間)は2つで1つ
- 良い睡眠がなければ良い覚醒はなく、良い覚醒によって良い睡眠も得られる
- 寝る時間がないなら、絶対に90分の質を下げてはならない
もし眠らないと
- インスリンの分泌が悪くなって血糖値が高くなり、糖尿病を招く
- 食べすぎを抑制するレプチンというホルモンが出ず、太る
- 食欲を増すグレリンというホルモンが出るため、太る
- 交感神経の緊張状態が続いて高血圧になる
- 精神が不安定になり、うつ病、不安障害、アルコール依存、薬物依存の発症率が高くなる
夜頑張って、明け方眠ると
- 集中していた脳は興奮している
- 入眠のタイミングを逃しているから、仮にすぐ眠れたとしても、この時間では黄金の90分は出現しない
- サーカディアンリズムの働きで、朝が近づくにつれ覚醒作用があるステロイドホルモンの分泌が始まるなどして、体は起きる準備を始める
どうしても資料を作らなければならないといった場合
- 眠気があるならまず寝てしまい、黄金の90分が終了した最初のレム睡眠のタイミングに起きて、資料作りにとりかかる
子どものようにすぐに眠れるスイッチ「体温」
- 体温は、「筋肉や内臓による熱産生」と「手足からの熱放散」によって調節されている
- 深部体温は日中高くて夜間低い
- 手足の温度(皮膚温度) はそのまったく逆で、昼に低くて夜間高い
- 覚醒時には、通常深部体温のほうが皮膚温度より2度ほど高い
- スムーズな入眠に際しては、深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが鍵
- 入眠時にはまず手足から熱放散が起こり、続いて深部体温の変化が起こる。この変化を助けてやれば、入眠しやすくなる
- 0.5C上がった深部体温が元に戻るまでの所要時間は90分
- 寝る30分前に入浴をすませておけば、その後さらに深部体温が下がっていき、皮膚温度との差も縮まり、スムーズに入眠できる
子どものようにすぐに眠れるスイッチ「脳」
- ハイウエーで運転中に眠くなる原因のひとつは、風景が変わらないこと
- 単調な状況だと頭を使わないから、脳は考えることをやめ、退屈して眠くなる
- モノトナス (単調な状態)にすることは、眠るための脳のスイッチ
- 「退屈」は普段はあまり歓迎されないが、睡眠にとっては「良き友」
- 退屈さによって脳のスイッチがオフになり、深い眠りがやってくる
- 「いつものパターン」を好む脳の性質を利用
- いつもどおりのベッドで、いつもどおりの時間に、いつもどおりのパジャマを着て、いつもどおりの照明と室温で寝る
- 眠れなかったらベッドから離れる
- ベッドは眠るための場所で、本を読んだりテレビを見るためのものではないという正しい条件づけを脳にしてやる
スリープサイクル
- スリープサイクルには個人差があり、それほど規則的でない
- あまり神経質にならなくても、明け方はレム睡眠の持続時間が長いので、レム睡眠のときやその直後に自然と覚醒していることが多い
- そもそも、レム睡眠がいつ出現するかを調べるのは難しい
夕食抜きはNG
- 夕食を抜いたらオレキシンが増えて、食欲が増すし、眠れない」だけの問題ではなくなる
- オレキシンは、交感神経の活発化や体温上昇も引き起こす
- オレキシンは、親玉的存在で、ほかの覚醒系物質を支配している
- 自律神経が乱れ、あらゆる不調に付け入るスキを見せることになる
- 夕食抜きは、眠りと健康にとってまさに百害あって一利なし
- 夕食をとる場合は、どんなに遅くても眠る1時間前まで
その他
- 大量のアルコールは睡眠の質を下げるが、度数が強くても量が少なければその心配はない
- 1日1時間以上の昼寝は認知症や糖尿病のリスクを高める
- 羊を数える → 諸説あるが、sleepと発音が似ているからだとか、「シープ」というのが言いやすく、息をひそめるような響きなので、眠りを誘う効果があるからなどといわれている
- 夜間の豆電球程度の明かりが、肥満や脂質代謝異常のリスクも増やす
- 会議で眠い時、ミーティングでは質問しよう。細かなことでもいいから発言しよう。疑問はその場で解消しよう。そう強く思えば、眠気も少しずつ姿を消す
睡眠を味方にし、夢を叶える
- 睡眠とは最強の味方であり、敵に回すと最悪な恐ろしい相手
- 1日24時間のうち、大きな部分を占める睡眠を味方にできるか敵に回すかで、人生は大きく変わる
- 夜な夜な訪れる人生の3分の1の時間が、残りの3分の2も決める
- 良い睡眠は、習慣にさえしてしまえば、さほど努力は要さない
- いわば夢を叶えるもっともシンプルな方法
『スタンフォード式 最高の睡眠』は、なかなか読み応えがありました。黄金の最初の90分を大事にするということですね。
『スタンフォード式 最高の睡眠』 西野精治
2019/10/27