『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブレイディ みかこ


私がこの本を知ったきっかけは、NHK「おはよう日本」での紹介でした。

エンパシー

というキーワードに「!!!」となったのです。 すぐに、アマゾンでポチりました。

他にも、「あさイチ」、「めざましテレビ」、「王様のブランチ」などで紹介されています。



エンパシーとは、他人の感情や経験などを理解する能力のことです。 シンパシーと言葉は似ていますが、意味は違うものです。

エンパシーとは、「自分がその人の立場だったらどうだろうと想像することによって誰かの感情や経験を分かち合う能力」なんです。

一方、シンパシーは、「かわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情」のことなのです。


そして、読んでみるとわかると思いますが、主人公である中学生の息子が、鋭く、賢いんです。 息子の放つ言葉が、胸に鋭く刺さります。ものすごく深いそれでいて温かい秀逸な表現なんです。

エンパシーについて、息子は「他人の靴を履いてみること」と表現しています。

他人の靴を履いてみること

なんてすばらしい表現なのでしょう!



『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、ノンフィクションとのことなのですが、イギリスの差別問題、いじめ、LGBTQなどをテーマにした本です。

しかし、読んでいてとても気持ちよいのです。 中学生の主人公のふるまいが、すがすがしく、爽快なんです。

一部、カタカナ英語が多いので理解しづらい部分もありますが、ぜひとも子どもにも読ませたい本の一つになりました。さすがに大賞をとっただけのことはありますね。

最後に「ブルー」の色は別の色に変化しますよ。



ブレイディ みかこさん

  • 1965年福岡市生まれ
  • 96年からブライトン在住
  • 英国で保育士資格を取得
  • 保育士 ライター コラムニスト


受賞

  • Yahoo!ニュース本屋大賞2019
  • ノンフィクション本大賞受賞
  • 第73回毎日出版文化賞特別賞受賞
  • 第2回八重洲本大賞受賞
  • 第7回ブクログ大賞 エッセイ・ノンフィクション部門受賞


なんと、下記のサイトで、試し読みができます!

4章分全文公開『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

書籍を読んていただかないとわからない所があると思いますが、ちょっとだけ私がエンパシーを感じた内容をご紹介します。ネタバレ含みます。



この本はそんな息子や友人たちの中学校生活の最初の1年半を書いたものです。 正直、中学生の日常を書き綴ることが、こんなに面白くなるとは考えたこともなかった。

というところから物語は始まります。


  • (息子)エンパシーとは何か「自分で誰かの靴を履いてみること
  • これは、英語の定型表現で、他人の立場に立ってみるという意味

  • シンパシーは、自分で努力をしなくとも自然に出て来る
  • エンパシーは、人々が何を考えているのだろうと想像する力
  • シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業


  • (息子)「善意は頼りにならないかもしれないけど、でも、あるよね」


  • (貧乏の子ティム)「でも、どうして僕にくれるの?」
  • (息子)「友だちだから。君は僕の友だちだからだよ

  • おそらく泣いているティムに対して
  • (息子)「ティムも母ちゃんと一緒で花粉症なんだよね。晴れた日は つらそう」
  • (息子)「うん。今日、マジで花粉が飛んでるもん。今年で一番ひどいんじゃないかな」


  • 私が吹き出して笑った所
  • (息子)「グランダーッズ・ボンザーイ、ウウウ、グランダーッズ・ボンザーイ、ウウウー」
  • 「祖父の盆栽」というロックソングを作って歌っている


  • 授業でFGMについてのビデオを見せられて
  • 心配と偏見も紙一重なら、予防と偏見にも紙一重のところがある」


  • DVDを家族で借りに行ったとき
  • 「質問があったらこちらに聞いてください。他の人には聞かないでください
  • 片言日本語なので、店員さんに怪しまれての表現


  • (母)「人間って、よってたかって人をいじめるのが好きだからね」
  • (息子)「僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。罰するのが好きなんだ


  • LGBTQQとは、異性愛者か同性愛者かまだわからないひと


  • (母)「これって、そういう勝ち負けの問題なの? いじめって、闘いなの?」
  • (母)「闘いにしたほうが、一方的にやられているよりも屈辱的じゃない、っていう考え方じゃないかな」


  • 同じように差別された経験をもっていればもっているだけ、無意識のうちにもこの「仲間感」は強くなる
  • 人種差別というものは、他人に嫌な思いをさせたり、悲しい思いをさせるものだが、それだけではなく、怒りや「仲間感」で帰属意識を強め、社会を分裂させることにも繋がるもの



  • 「いや、XXXXXって、もちろん『環境問題』とか『嫉妬』とかいう意味もあるけど、『未熟』とか『経験が足りない』とかいう意味もあるでしょ」

  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとXXXXX。いまのところは。
  • きっとこの色は、これからも変わり続けるに違いない
  • XXXXXのところはぜひ書籍を手にとって見てください。


『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 ブレイディ みかこ

2019/12/17